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ウサギのトレポネーマ症(うさぎ梅毒) 2025.04.04

【病態】

ウサギのトレポネーマ症(兎梅毒、スピロヘータ症)は、Treponema paraluiscuniculi というスピロヘータが原因となる細菌感染症です。主に交尾を介して感染しますが、母子感染や接触感染も報告されています。感染すると、鼻、口唇、外陰部、肛門周囲に発赤、腫脹、痂皮形成(かさぶた)、潰瘍が見られます。強いかゆみや痛みを伴うことがあり、重症例では食欲不振や元気消失を引き起こすこともあります。

ヒトや他の動物には感染しません。

【診断】

・視診:鼻や口唇、性器周辺に特徴的な病変が見られるか確認します。
・顕微鏡検査:病変部の皮膚をこすり取って、暗視野顕微鏡でスピロヘータを検出します。
・血液検査(抗体検査):トレポネーマに対する抗体を測定することで診断の補助になります。
・PCR検査:スピロヘータの遺伝子を検出し、確定診断に役立ちます。

【治療】

抗生物質の投与

  • ペニシリン系抗生物質(ベンジルペニシリンなど)を数週間にわたり筋肉注射で投与するのが一般的です。
  • 経口抗生物質(クロラムフェニコールなど)を使用することもありますが、ウサギは腸内細菌バランスを崩しやすいため注意が必要です。

局所治療

  • 痂皮(かさぶた)がひどい場合は、温かい湿布などで軟化させて除去し、抗菌薬入りの軟膏を塗布することがあります。

隔離と環境管理

  • 感染拡大を防ぐために、発症したウサギを他のウサギと隔離します。
  • ケージや食器の消毒を徹底し、衛生環境を維持することが重要です。

【予後】

・早期に適切な抗生物質治療を行えば、予後は良好で、数週間で症状は改善します。
・治療が遅れると、病変が拡大し、二次感染を起こすことがあります。
・感染が完全に治るまで交配を避け、再感染を防ぐことが重要です。

【症例】

8歳齢、避妊メス、ロップイヤー

口周りにただれがある、痛くて食べる量が減っている

 

ウサギの皮膚でお困りの際はご相談ください。

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