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【病態】
ウーパールーパーの転覆症候群とは、水中で体のバランスを保てなくなり、ひっくり返って浮いたままになったり、底に沈んだまま動けなくなったりする状態を指します。この状態は「浮力の異常」によって起こり、一般的に魚の「転覆病」とも似ていますが、ウーパールーパーには浮き袋がないため、正確には胃腸内のガスや消化管内の異常、あるいは体内に水分や空気が異常に溜まることで浮力のバランスが崩れていると考えられています。
原因としては、水質の悪化、水温の急変、不適切な食事(浮きやすい人工飼料や空気を飲み込みやすい餌)、腸閉塞、感染症、あるいは先天的な内臓の異常などが挙げられます。
【診断】
転覆症候群は、外観上の異常や行動の変化から比較的わかりやすく診断されます。具体的には、水面にお腹を上にして浮いたままになっていたり、反対に沈んだまま動けなかったりする様子が見られます。浮いたまま餌を食べられない、泳ぐ際に不自然な姿勢になるといった症状も確認のポイントとなります。
病院での診察では、X線検査や超音波検査により消化管内のガスや便のたまり、内臓の異常を調べることができます。また、水質や水温などの環境因子のチェックも重要です。
【治療】
まずは、水温や水質を適正に保ち、静かな環境で様子を見ることが基本になります。特に水温は20℃前後を目安に保ち、急激な温度変化を避けることが大切です。絶食を数日間行うことで、胃腸内のガスや内容物を自然に排出させ、浮力のバランスが改善することもあります。
消化を助けるために少量の塩(0.3~0.5%食塩浴)を行うこともあります。また、餌の種類を変える(生餌や沈下性の餌への変更)ことで、空気を飲み込みにくくしたり、消化しやすくする工夫も効果的です。症状が改善しない場合や、明らかに体内に異常が疑われる場合には、内科的・外科的処置が必要になることもあります。
【予後】
転覆症候群の予後は、原因と対応の早さによって大きく異なります。一時的なガスの貯留や軽度の消化不良によるものであれば、環境の改善や絶食のみで自然に回復することが多いです。しかし、長期間症状が続く場合や、腸閉塞・内臓疾患などが関与している場合には、予後が悪くなる可能性があります。
再発を防ぐためには、日頃から水質管理を徹底し、急な温度変化を避け、消化に良い適切な餌を与えることが大切です。特に餌の量と種類に注意し、過食や空気の取り込みを防ぐことが予防につながります。
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