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デグーの鼻腔内疾患 2025.07.05

【病態】
デグーにおける鼻腔内疾患は、慢性鼻炎、鼻腔内膿瘍、歯根伸長に伴う鼻腔浸潤のほか、オドントーマや腺腫様病変といった腫瘤性疾患の発生も比較的多く認められるのが特徴です。
特に上顎臼歯の根尖が鼻腔方向へ伸長すると、歯原性組織の過形成が生じ、オドントーマへ進行することがあります。これらの腫瘤性病変は鼻腔を閉塞し、くしゃみ、膿性鼻汁、開口呼吸、顔面の変形などを引き起こします。骨の破壊や変形を伴い、進行性かつ不可逆的な変化をもたらすため、早期発見と迅速な対応が重要です。

【診断】
症状としては、くしゃみ、鼻汁、呼吸音の異常、眼球突出、顔面腫脹などが認められます。
触診や視診に加え、頭部X線検査では歯根伸長や鼻腔の不透明化、骨変形などの初期的評価が可能です。さらに、CT検査を行うことで、オドントーマや腫瘤性病変の位置・大きさ・鼻腔・眼窩・頭蓋内への浸潤の程度を高精度に把握することができ、外科的計画にも役立ちます。鼻汁がある場合は細菌培養検査を行い、適切な抗菌薬の選択に活用します。

【治療】
鼻腔内膿瘍や慢性鼻炎の場合、抗菌薬の全身投与やネブライザー療法が有効ですが、オドントーマや腺腫などの腫瘤性病変では内科治療のみでの改善は困難です。
このため、外科的処置が第一選択となり、腫瘤の摘出、病的歯の抜歯、必要に応じてドレナージや鼻腔の再建術などを行います。手術には全身麻酔のリスクが伴いますが、症状の緩和と進行抑制を図るには避けて通れない治療方針です。術後は抗菌薬や鎮痛薬を用いて、感染予防と疼痛管理を行います。

【予後】
早期の外科的介入により一時的な症状改善が得られることもありますが、再発率は高く、長期的な予後は不良です。腫瘤の完全摘出が困難な例や、頭蓋内や眼窩への進展がみられる場合は、QOLの維持を目的とした緩和的ケアが中心になることもあります。
定期的なCTモニタリングと症状の観察により、悪化の兆候を早期に捉えることが非常に重要です。

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