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【病態】
ボルデテラ感染症は、Bordetella aviumという細菌によって引き起こされる鳥類の呼吸器感染症です。特にオカメインコで多く報告されており、鼻炎や気管炎、結膜炎などを中心に多様な呼吸器症状を示します。
この細菌は上気道の線毛上皮に感染して炎症を起こし、粘液排出機能を低下させます。その結果、鼻汁、くしゃみ、呼吸音の増加などがみられるようになります。感染は主に空気中の飛沫や汚染された器具・水などを介して広がります。
オカメインコでは、病変が顎の筋肉や関節に及ぶと、口を開けにくくなる症状(いわゆる「ロックジョー」と呼ばれる状態)がみられることがあります。これにより採食が困難となり、体重減少や衰弱を引き起こすこともあります。
【診断】
診断は、鼻汁や結膜炎、呼吸器症状などの臨床所見に基づいて行います。確定診断には、鼻腔や咽頭からの検体を用いた培養検査やPCR検査を実施し、Bordetella aviumを特定します。
また、X線検査で気嚢や肺の変化を確認し、病変の広がりを把握します。症状が似ている他の疾患(マイコプラズマ感染症、クラミジア感染症、真菌感染など)との鑑別も重要です。
【治療】
治療の中心は抗菌薬の投与です。ボルデテラ属は一部の抗菌薬に耐性を示すことがあるため、感受性試験によって有効な薬剤を選択することが望まれます。
また、呼吸器の炎症をやわらげるために、加湿環境の維持や吸入療法が行われます。症状に応じて、点滴や酸素療法、栄養補助を行うこともあります。口を開けにくい症状がある場合には、軟らかい餌や強制給餌による栄養管理が必要になることがあります。
【予後】
早期に治療を開始すれば回復する例も多いですが、感染が進行して呼吸困難や採食障害を起こすと、治療に時間がかかる場合があります。重度の個体や幼鳥では死亡率が高くなる傾向があります。
治療後も細菌が体内に残る「保菌状態」となることがあり、他の個体への感染源になる可能性があります。そのため、治療終了後も一定期間の隔離観察と、飼育環境の清潔保持が重要です。
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