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【病態】
ハムスターの心疾患は、高齢の個体や肥満傾向のある個体で多く見られる循環器の病気です。主な原因には、心筋症(拡張型・肥大型)や弁膜症(僧帽弁閉鎖不全など)があり、これらが進行すると心不全を引き起こします。ジャンガリアンハムスターやゴールデンハムスターでは、加齢や高脂肪食による心筋への負担が蓄積し、心臓の働きが徐々に弱くなっていきます。
病気が進むと心臓のポンプ機能が低下し、肺に血液が滞る「肺うっ血」や、胸やお腹に水がたまる「胸水」「腹水」が起こります。その結果、呼吸が苦しそうになったり、動きが鈍くなったりします。食欲不振や体温低下、被毛の乱れなどの症状がみられることもありますが、初期には目立った異常が出にくいため、早期発見が難しい病気です。
【診断】
診断には、身体検査、聴診、X線検査、超音波検査などを組み合わせて行います。聴診では心雑音や不整脈が聞かれることがありますが、ハムスターは体が小さいため聴取が難しいこともあります。X線検査では、心臓が大きく見える心肥大や、胸水がたまっている様子が確認される場合があります。
血液検査では、心臓に特有の異常を直接示す指標は少ないものの、肝臓や腎臓の機能低下など、循環不全に伴う二次的な異常が見つかることがあります。これらの情報を総合して、心疾患の種類や進行度を判断します。
【治療】
治療の目的は、心臓の負担をできるだけ軽くし、全身の血液循環を保つことです。まずは、安静を保ち、体温を一定に管理することが重要です。薬物療法では、犬や猫で使用される心疾患治療薬を、ハムスターの体格に合わせて慎重に投与します。心臓の負担を減らすACE阻害薬、胸水や腹水を減らす利尿薬、心臓の収縮を助ける強心薬などが使われることがあります。
重症の場合には、酸素室での管理や、腹水が多いときには穿刺による排出を行うこともあります。肥満が関与している場合は、脂肪分の少ない食事に切り替え、過剰なエネルギー摂取を避けることも大切です。ストレスが悪化要因になるため、静かで落ち着いた環境での飼育が推奨されます。
【予後】
ハムスターの心疾患の予後は、発見のタイミングと心臓の機能がどれだけ保たれているかによって大きく変わります。うっ血性心不全を起こしている場合は、急速に悪化し、数日から数週間のうちに亡くなってしまうこともあります。
ハムスターは体調の変化を隠す傾向が強く、症状が出るころにはすでに進行していることが多いです。そのため、定期的に健康診断を受け、心音や呼吸状態をチェックしておくことが、早期発見と予後の改善につながります。
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