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ハムスターの霰粒腫 2025.07.05

【病態】
霰粒腫は、眼瞼に存在するマイボーム腺と呼ばれる脂腺の開口部が閉塞し、内部に分泌物が貯留することで形成される慢性の嚢胞性病変です。ハリネズミでは、上瞼または下瞼に無痛性でやや硬い腫瘤として認められることが多く、進行すると腫瘤が大きくなり、眼球を圧迫したり、まぶたの動きを妨げたりすることがあります。

加齢や免疫機能の低下、慢性の眼瞼炎などが発症に関与すると考えられており、特に中高齢の個体での発生が目立ちます。片側の瞼に単発で生じることが多いものの、稀に両側性や再発性に経過することもあります。

【診断】
視診および触診によって、まぶたの縁または内側に境界明瞭な腫瘤があることを確認します。眼瞼を反転させて内部を観察すると、白色あるいは黄白色の内容物を伴う場合があります。

悪性腫瘍との鑑別のために、必要に応じて細針吸引による内容物の採取と細胞診検査を行います。急速に大きくなる、出血を伴う、自壊するなどの所見がある場合には、腺癌などの悪性病変も鑑別に挙げる必要があります。

【治療】
初期で小型の霰粒腫の場合は、抗菌薬やステロイド点眼薬などの内科的管理により縮小が期待できることもあります。しかし、内容物が完全に吸収されない場合や明らかな腫瘤として長期間残存する場合、あるいは眼球圧迫や角膜刺激などの症状がある場合には、外科的切除が推奨されます。

全身麻酔下にて病変部を切開し、嚢胞内容物の除去と周囲組織の完全摘出を行います。術後は点眼薬および必要に応じて全身投薬を併用し、感染予防と炎症抑制を図ります。

【予後】
完全に切除できた場合の予後は良好です。ただし、マイボーム腺はまぶた全体に多数存在するため、再発する可能性もあります。早期発見と的確な治療により、視覚への影響や生活の質の低下を防ぐことができます。

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