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【病態】
ヘミペニス膿瘍とは、オスのヒョウモントカゲモドキの総排泄腔(クロアカ)内にある左右の交尾器官(ヘミペニス)に膿が溜まり、腫脹や感染を起こす状態を指します。本来、ヘミペニスは交尾時に一時的に外に出る器官で、通常は使用後に自然と体内へ戻ります。しかし、炎症や異物(例:脱皮殻、糞便、基質など)の混入、慢性的な刺激や不衛生な環境が原因で感染が起こると、ヘミペニス内に膿がたまり、しこり状に腫れて戻らなくなることがあります。
【診断】
診断は、主に視診と触診によって行います。総排泄腔の周囲に左右どちらか、または両側にしこりのような腫れが認められる場合、ヘミペニス膿瘍が疑われます。腫れの内容が硬く、白~黄色っぽい膿が貯留している場合が多く、圧迫や穿刺により膿が確認できることもあります。
必要に応じてX線検査や超音波検査を行い、膿瘍と腫瘍などとの鑑別を行うこともあります。また、膿の内容物を採取して細菌培養検査や感受性試験を行うことで、治療方針の決定に役立つこともあります。
【治療】
軽度の症例では、局所の洗浄や抗菌薬の投与、軟膏の塗布などで改善することがあります。しかし、膿の量が多い、または慢性化している場合には、外科的な処置が必要になります。
外科的治療では、膿瘍部分を切開し、内部の膿や壊死組織を丁寧に除去したうえで、場合によってはヘミペニスの部分的あるいは完全な切除(片側のみ)を行います。術後は再感染を防ぐために、抗菌薬の投与と患部の清潔管理を徹底する必要があります。また、再発を防ぐため、飼育環境の改善(床材の見直し、湿度や清潔の維持など)も重要です。
【予後】
ヘミペニス膿瘍の予後は、早期に治療を行った場合には良好です。外科処置後の経過も安定していれば、ヘミペニスを片側切除しても繁殖能力には大きな影響が出ないことが多いとされています。
しかし、治療が遅れた場合や感染が広範囲に及んでいる場合には、再発や慢性炎症のリスクが高まることがあります。また、再発防止のためには、清潔な飼育環境と適切な湿度管理を継続することが重要です。
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