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【病態】
フクロモモンガの乳腺腫瘍は、主に雌で発生が報告されている腫瘍性疾患です。乳腺組織から発生し、良性から悪性までさまざまなタイプが存在します。発生部位は体幹の腹側や胸部が多く、腫瘤が皮下に触れることで発見されます。腫瘍が大きくなると、周囲の皮膚を引きつらせたり、潰瘍や出血を伴うこともあります。
フクロモモンガでは、ホルモンの影響や遺伝的要因、加齢による細胞変化などが発症の要因と考えられています。また、飼育下での栄養バランスの偏りやストレスなどが腫瘍の発生を促す場合もあります。悪性腫瘍ではリンパ節や内臓への転移が見られることがあり、早期発見・早期治療が非常に重要です。
【診断】
診断は、まず身体検査によって乳腺部位にしこりや腫脹を確認することから始まります。触診で腫瘤の大きさ、硬さ、可動性を評価し、必要に応じて細胞診(針吸引検査)を実施します。細胞診では、腫瘍細胞の異型性を確認することで良悪性の判定を行います。
より詳細な評価を行う場合には、X線検査や超音波検査を併用し、胸部や腹部への転移の有無を確認します。悪性腫瘍が疑われる場合には、外科的切除後に病理組織検査を実施し、確定診断を行うことが推奨されます。
【治療】
治療の基本は外科的切除です。腫瘍が限局している場合、外科的に腫瘍とその周囲の健康組織を含めて摘出することで根治が期待できます。小型のフクロモモンガでは手術時の麻酔リスクがあるため、全身状態を慎重に評価した上で手術を行います。
悪性腫瘍で転移が疑われる場合には、術後に抗腫瘍薬やホルモン療法が検討されることもありますが、フクロモモンガでは有効性や安全性のデータが限られています。そのため、支持療法が中心となることもあります。
術後は再発や転移の有無を確認するために、定期的な経過観察が必要です。
【予後】
良性の乳腺腫瘍であれば、完全に切除することで再発の可能性は低く、良好な経過をたどることが多いです。一方、悪性腫瘍では再発や転移のリスクが高く、予後は慎重にみる必要があります。特に高齢個体や全身状態が悪い場合は、治療後の回復が遅れることもあります。
早期発見・早期手術が予後を大きく左右します。日常的に体を触って観察し、しこりや皮膚の変化を見つけた場合には、できるだけ早く動物病院を受診することが大切です。
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