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亀の鼻炎 2025.05.16

【病態】
カメの上部気道感染症とは、主に鼻腔や咽頭、気管などの上部気道に炎症を起こす病気で、くしゃみ、鼻水、目やに、呼吸困難などの症状を引き起こします。原因としては細菌感染(特にMycoplasma spp.やPseudomonas spp.、Aeromonas spp.など)が多く、ウイルスや真菌が関与することもあります。

また、飼育環境が悪い(低温・高湿度・不衛生)ことが発症や重症化の引き金になることが多く、免疫力の低下したカメでは特に注意が必要です。水棲ガメだけでなく、リクガメも発症することがあり、感染症が肺炎などに進行することもあります。

 

【診断】
診断は、問診や鼻水、開口呼吸、浮腫、目の腫れなどに加え、鼻腔・咽頭からの細菌培養や感受性試験を通じて原因菌の特定を行います。重度の呼吸困難が見られる場合には、X線検査で肺や気道の状態を評価することもあります。

また、温度・湿度・飼育水の状態なども病因の一つであるため、飼育状況の聞き取りと検査が並行して行われることが一般的です。

 

【治療】
治療は主に抗菌薬の投与を中心に行われます。原因菌が特定できれば、それに対して感受性の高い薬剤を選んで使用します。一般的にはエンロフロキサシンやセファロスポリン系の注射薬、または点鼻薬、吸入療法などが使用されます。

合わせて、適切な温度・湿度管理、清潔な水環境が不可欠です。低体温や栄養不良がある場合には、保温・強制給餌・水分補給などの全身管理も並行して行います。

 

【予後】
上部気道感染症は早期に治療を開始すれば回復する可能性が高い病気ですが、慢性化や肺炎への進行、全身感染に至った場合には予後が悪化することがあります。特に免疫力の弱い若齢個体や高齢個体では注意が必要です。

また、飼育環境の改善がされなければ再発しやすくなるため、治療後も環境維持と定期的な健康チェックが重要です。同居個体がいる場合は感染拡大を防ぐため隔離や個別管理が推奨されます。

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