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【病態】
犬の角膜潰瘍は、角膜の表層から深層に至る組織が欠損した状態を指し、外傷、異物、睫毛の異常、乾性角結膜炎、細菌感染など多くの原因で発生します。特に短頭種では解剖学的に露出が大きいため発生率が高く、軽度の傷でも急速に悪化することがあります。病変が深くなると角膜が穿孔する危険性があり、迅速な診察と治療が必要です。
【診断】
診断はフルオレセイン染色試験によって行い、角膜表面の欠損部位を確認します。潰瘍の深さや進行度を把握するため、スリットランプでの詳細な観察を行います。感染が疑われる場合には細菌培養を実施し、角膜の菲薄化やデスメ膜瘤が見られるときは穿孔リスクを評価します。
【治療】
治療ではまず角膜の感染を防ぐために抗菌薬点眼を行います。痛みを緩和する目的で鎮痛薬を併用することもあります。角膜表面を保護し、治癒を促す方法として、バンデージコンタクトレンズを装着することがあります。このレンズは角膜を外的刺激から守り、上皮の再生を助ける役割を果たします。重度の潰瘍や穿孔の危険が高い場合には、結膜フラップや角膜移植などの外科的治療が必要になることがあります。
【予後】
浅い潰瘍であれば適切な治療により比較的短期間で回復しますが、深部に及ぶ潰瘍や感染を伴う症例では治癒に時間を要し、視覚に影響が残ることもあります。特に短頭種では再発傾向があるため、涙液量の評価や眼瞼の形態異常の治療など、原因に対する長期的な管理が予後の改善に重要となります。
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