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【病態】
猫の慢性腎不全は、腎臓の機能が徐々に低下し、最終的に腎臓が正常に働かなくなる状態を指します。主に中高齢の猫に多く見られ、原因としては老化や糖尿病、高血圧、甲状腺疾患などが関与しています。腎臓は体内の老廃物や余分な水分を排泄し、血液の浄化を担っていますが、慢性腎不全になるとその機能が低下し、毒素が体内に蓄積することになります。
病気が進行すると、体内の電解質バランスが崩れ、水分や尿素の排泄が不十分になり、尿の量が減少します。初期段階では症状があまり現れませんが、進行することで食欲不振、体重減少、嘔吐、多飲多尿などの症状が見られるようになります。
【診断】
慢性腎不全は初期に症状が出にくいため、早期発見が難しいことがあります。診断には、血液検査と尿検査が最も重要です。血液検査では、血中のクレアチニンや尿素窒素の値が上昇し、腎機能の低下を示唆します。また、尿検査では、尿の比重が低下し、尿中のタンパク質や血液が検出されることがあります。
さらに、超音波検査やX線検査を用いて腎臓の大きさや形状を確認することもあります。腎臓が縮小している場合や、腎皮質の異常が見られることがあります。進行度を評価するために、定期的な検査で腎臓の状態を監視することが大切です。
【治療】
慢性腎不全には根本的な治療法はなく、病気の進行を遅らせるための対症療法が行われます。治療の中心となるのは、食事療法、薬物療法、水分補給です。
食事療法としては、腎臓に負担をかけない低タンパク質・低リンの療法食を与えることが推奨されます。これにより、腎臓の負担を減らし、病気の進行を遅らせることができます。また、食欲不振が続く場合には、強制給餌や食欲増進薬が使用されることもあります。
薬物療法では、高血圧が原因で腎臓に負担がかかることがあるため、降圧薬や利尿薬を使用して血圧をコントロールします。また、腎臓の機能をサポートするための薬も処方されます。
水分補給は非常に重要です。腎不全が進行すると脱水症状が見られることがあるため、積極的に水分を与えることが推奨されます。飲水量が不足する場合には、皮下注射での水分補充が行われることもあります。
【予後】
慢性腎不全は進行性の病気であり、早期に発見し、適切に管理することで、猫の生活の質を維持することが可能です。治療を行っても完全に回復することはなく、進行を遅らせることが目標となります。定期的な血液検査や尿検査を通じて、病状の変化を早期に察知することが重要です。
治療がうまく行われると、猫は比較的安定した状態で過ごせることが多いですが、最終的には腎機能が完全に失われることがあります。進行の速度や予後は猫の年齢や健康状態、治療の反応によって異なるため、飼い主さんとの協力が不可欠です。
尿毒症が進行すると意識障害や痙攣を引き起こすことがあり、最終的には終末期の治療が求められることもあります。そのため、早期の発見と日々の適切なケアが長期的な予後を良好に保つために大切です。
猫の腎不全は盛んに研究されており、新薬の開発も実用までもう少しまで来ています。
お困りの方はご相談ください。
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