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猫の風邪 2025.04.22

【病態】
いわゆる「猫風邪」は、猫に見られる上部気道感染症の総称で、主に猫ヘルペスウイルス(FHV-1)や猫カリシウイルス(FCV)、またクラミジアやマイコプラズマなどの細菌によって引き起こされます。特に子猫や免疫力の弱った猫では症状が重くなることがあります。

これらの病原体は、くしゃみや鼻水、目やになどの飛沫を介して他の猫にうつるため、多頭飼育や保護施設などでは感染が広がりやすい環境になります。感染後は、一部のウイルスが体内に潜伏し、ストレスや病気などで免疫が低下した際に再発することがあります。

【診断】
診断は主に症状と身体検査によって行われます。代表的な症状には、くしゃみ、鼻水、咳、目やに、結膜炎、発熱、元気消失、食欲不振などがあります。ウイルスや細菌の特定を目的に、鼻や目の分泌物を採取してPCR検査や培養検査を行うこともあります。

また、慢性的に再発を繰り返す場合や、重症化している場合には、血液検査やレントゲン検査で全身状態を評価することもあります。

【治療】
治療は、症状の重さや原因によって異なりますが、基本的には対症療法が中心となります。細菌感染が疑われる場合には抗生物質を使用し、目やにや結膜炎が強い場合には点眼薬や点鼻薬を併用します。脱水が見られる場合には輸液を行い、食欲が低下している場合には強制給餌や嗜好性の高い食事の提供を行います。

ウイルス性の感染に対しては特効薬がないことが多いため、免疫を高めるインターフェロン製剤やサプリメントを使用することもあります。また、回復を早めるために、ストレスを軽減し、温かく清潔な環境を整えることが重要です。

【予後】
多くの猫風邪は適切な治療とケアにより回復が見込まれますが、特に子猫や高齢猫、免疫力の低い猫では重症化することもあるため注意が必要です。

一度感染すると、ヘルペスウイルスなどは体内に潜伏し、ストレスや病気をきっかけに再発することがあります。そのため、発症予防のためには定期的なワクチン接種が非常に重要です。また、再発しにくい生活環境(温度・湿度管理、ストレス軽減、栄養管理)を整えることが、長期的な健康維持につながります。

 

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