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鳥類の多発性過骨症 2025.07.05

【病態】
多発性過骨症は、骨の異常な骨化が全身の複数の部位で同時に進行する病態で、特にセキセイインコの雌において多く報告されています。主な原因は、性ホルモン過剰によるもので、卵巣の持続的な刺激や腫瘍化が関与していると考えられています。骨化は主に上腕骨、前腕骨、脛骨、腓骨においてみられ、骨が異常に太く、硬くなるため、歩行困難や飛翔不能などの運動障害を引き起こします。進行すると医原性の骨折を伴う場合もあります。

【診断】
まず、問診で過発情であることを確認します。X線検査は診断に極めて有用であり、複数の骨に対称性の骨肥厚が認められれば本疾患が強く疑われます。特に脛骨・腓骨の周囲に均一な骨増生がある所見は特徴的です。また、腹腔内に卵巣腫大が疑われる場合は、超音波検査を併用して評価します。必要に応じて血液検査により、肝機能や栄養状態も確認します。

【治療】
治療は、性ホルモンの異常分泌を抑制することが基本となります。ホルモン抑制剤を用いた内科的治療が第一選択であり、定期的な注射により症状の進行を抑えることが可能です。また、卵巣腫瘍が明らかな場合や内科的反応が乏しい場合には、卵巣摘出を含む外科的対応が検討されます。ただし、鳥類の卵巣摘出は技術的難易度が高く、全身麻酔のリスクも伴うため、慎重な評価が必要です。

【予後】
治療に対する反応は個体差があり、早期に発見・対応できた場合は機能回復が見込めます。内科療法により骨肥厚の進行を抑え、日常生活に支障をきたさないレベルに維持できるケースも多く報告されています。発情過多の兆候が長期にわたって認められる場合は、早めの診察をお勧めします。

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