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【病態】
ヘビの低温やけどは、パネルヒーターや保温球、保温ケーブルなどの保温器具に長時間接触することで発生する熱傷です。爬虫類は哺乳類と比べて熱刺激に対する反応が鈍く、自ら危険を回避できないことがあるため、比較的低い温度でも長時間接触することで重度の組織障害を引き起こします。
病変は腹側に発生することが多く、初期には発赤や変色のみですが、進行すると皮膚の壊死や潰瘍形成が生じます。重症例では筋肉層まで損傷が及び、細菌感染や敗血症を併発することもあります。
【診断】
診断は飼育環境の聞き取りと身体検査によって行います。腹部や体側の変色、発赤、水疱、潰瘍、壊死組織などを確認します。病変が深部へ及んでいる場合には、感染の程度や組織損傷の範囲を評価するため追加検査を行うことがあります。
また、実際の飼育温度を確認すると、保温器具の表面温度が適正範囲を大きく超えていることも少なくありません。
【治療】
治療は保温環境の是正と創傷管理が基本となります。壊死組織や感染組織の除去を行い、創部の洗浄と局所治療を継続します。細菌感染を伴う場合には抗菌薬を投与し、疼痛管理や補液などの支持療法を併用します。
深部組織まで損傷が及んでいる症例では、複数回のデブリードマンや外科的処置が必要となることがあります。脱皮不全が生じることもあるため、治療期間中は湿度管理も重要です。
【予後】
表層の軽度な熱傷であれば良好な回復が期待できます。しかし、筋肉層まで達する重度の熱傷では治療が数か月に及ぶことがあり、瘢痕形成や変形が残ることもあります。敗血症を併発した症例では生命に関わる場合もあります。
低温やけどは爬虫類診療で非常に多い事故の一つであり、多くは飼育環境の問題によって発生します。保温器具には必ずサーモスタットを使用し、ヘビが高温部から自由に移動できる温度勾配を設けることが予防に重要です。定期的に保温器具の表面温度を測定することも推奨されます。
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