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【病態】
カメの下部呼吸器疾患は、気管、気管支、肺に炎症や感染が生じる疾患で、肺炎が代表的です。原因としては細菌感染が最も多く、不適切な温度管理、紫外線不足、栄養不良、慢性的なストレスなどによる免疫力低下が発症に関与します。水棲ガメでは水温低下、陸棲ガメでは飼育環境の温度不足が誘因となることが少なくありません。
カメは解剖学的に横隔膜を持たないため、呼吸器疾患が進行すると換気能力が著しく低下します。また、肺炎が慢性化すると肺内に膿瘍や肉芽組織が形成され、治療が長期化することがあります。
【診断】
診断は身体検査と画像検査を中心に行います。開口呼吸、鼻汁、呼吸音の増強、食欲低下、活動性低下などがみられます。水棲ガメでは浮力異常が認められることがあり、肺病変が生じた側を上にして傾いて泳ぐことがあります。
X線検査では肺野の透過性低下や浸潤影を確認し、病変の広がりを評価します。CT検査は肺内部の病変評価に非常に有用です。必要に応じて気管洗浄や細菌培養検査を実施し、原因菌の特定を行います。
【治療】
治療は抗菌薬投与を中心に行います。細菌培養検査が可能な場合には感受性試験に基づいた治療を実施します。あわせて適切な温度管理を行い、免疫機能の回復を図ることが重要です。
重度の症例では輸液療法や強制給餌などの支持療法を併用します。肺内に膿瘍形成が認められる場合には外科的処置が必要となることもあります。呼吸器疾患の治療には長期間を要することが多く、数週間から数か月にわたる管理が必要です。
【予後】
早期に発見され適切な治療が行われた場合には良好な回復が期待できます。しかし、症状を示した時点で病変が進行していることも多く、重度の肺炎や肺膿瘍を伴う症例では予後は慎重となります。
カメの呼吸器疾患は飼育環境との関連が強いため、適切な温度管理、紫外線管理、栄養管理が予防において極めて重要です。食欲低下や浮力異常、呼吸状態の変化が認められた場合には、早期の受診をおすすめします。
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